エモさ on 地味な土台 in ウェブサイト

地味な土台の部分をきちんと作った上に、いわゆるエモさみたいなものが積み上げられた形のウェブサイトを作りたいなというのをずっと思ってる。

地味な土台というのは、アクセシビリティやパフォーマンス、サイト全体を通してのスタイルの一貫性など、ウェブサイトを作るために普通に意識すべきことのことを指している。

というのも、最近のウェブサイトを作るときの意識って、気持ちいいアニメーションがあって、インタラクティブに動いて、見た人が魅了されるみたいなエモさを追求することに向かい過ぎてる。その結果、当たり前にやるべきはずのことが蔑ろにされている。しかし、エモさはあくまで付加価値であって、それ自体を最優先で考えるのはウェブサイトの目的を見失っていることに他ならないと感じる。

なんでその目に見えない地味な部分を見た目にわかりやすいエモい部分より優先しないといけないのかというと、それが他のメディアにはないウェブの強みを活かすために必要な要素だからだ。ウェブは普遍的であることで発展してきた。誰もがどこからもアクセスできて、いつでもちゃんと使える。これはごく当たり前のことに聞こえるけど、多くはそれを意識できてないか無視してる。

反して、ウェブの利点を犠牲にしてまでウェブサイトのエモさを追求したところで他のメディアには敵わない。縦横比が固定された動画や、加えてプラットフォームが限定されたゲームなどと違って、多様なユーザーエージェントに対応するためには点で見たときの見た目や体験だけをあてにできない。だから、発想の柔軟性は制限されているし、コストも掛かり過ぎる。

ユーザーの多様性を認めることがウェブの良さを最も素直に発揮できる方法であって、全てのウェブサイトはその前提の下で設計されるべきだ。

とは言いつつも、僕はウェブサイトにおけるエモさを否定はしてないし、それを取り入れること自体は良いことだと思ってる。けど、そのために別の環境やユーザーからはアクセスできない、使えないようになってしまうなら採用すべきでない。

ウェブサイトを制作するために必要なことをピラミッドで表すと、地味な土台の上にエモさは位置している。下の層から順に達成できている状態で、その先でエモさを作り出すことに取り組めれば最も理想的。そんな優先順位でウェブ制作に取り組むことが当たり前になれば、みんなにとって魅力的なウェブにしていけると僕は信じてます。