Re: なぜピクセルパーフェクトは筋が悪いのか

昨日書いた記事はあまりに雑だった。それに対するつぶやきを見て、思考が整理されたので改めて書く。

ピクセルパーフェクトが正しくないのは、カンプの時点ではまだデザインは未完成であるからだ。つまりは、未完成なデザインをそのまま形にすることを強制していることになる。

GUIのデザインツールとCSSは、それぞれ別のアプローチでデザインを表現できる手段だと言える。

GUIは自由に発想を展開して試行錯誤するためのプレイグラウンドだ。あえて制約を緩めることによって、さまざまな形を実験する効率を高めている。反して、実際の媒体の制約と照らし合わせると現実性の無いものもできる。制約は意識しにくいし、ルールで縛りたい場合には向いてない。そのための仕組みが弱いからだ。

CSSはルールを適応するためのツールだ。指定した要素に対して一律同じスタイルを当てることができる。デザインを構成するルールは論理的な単位で分解して再利用できる。反面、デザインが理路整然としていないとCSSは難しくなる。痛みに最も敏感になれる場所だとも言える。例外に弱い。

良いデザインを作るためには、たくさんの試行錯誤と一貫したルールが必要だ。それを実現するためには、互いを組み合わせてデザインするのが最も強い。

GUIツールを使って作られたカンプを基にCSSを書くことも立派なデザインの過程である。カンプを作ることとはまた別の視点での。それら一通りを同じ意志を持った人が行うことで、初めてひとつのデザインが完成する。

分業は大きな壁だ。いわばデザインの途中段階で、その完成を他人に委ねてしまうことになる。うまく進めるには可能な限り思考を同期させるしかない。

けど、正しい答えにたどり着くための、文脈を理解する手がかりや、そこで見つけた間違いをフィードバックするための仕組みは全く未熟なままだ。ウェブにおいて差し迫った問題として活発に議論されているが、それでもまだまだ重要性が認識されていないことがほとんどだ。

問題を解決するための答えはそれぞれの場所に必ずある。互いのメンタルモデルを深く理解することが、壁を取り払って本質的な問題に目を向けるための第一歩になる。